北海道東部の津別町で現在、町民の暮らしぶりを記録する地域情報誌「rotator(ローテーター)」の制作が進められている。
企画したのは北海道大学公共政策大学院の学生団体「HALCC(ハルク)」。冊子の発行費用を募るクラウドファンディング(CF)では、目標の35万円に対し92%に当たる32万5,250円(12月15日現在)の支援が寄せられている。
ハルクは「道東の津別町を舞台に、地方創生に挑戦する」テーマで活動。2016(平成28)年に津別町が主催したアイデアコンテストへの出場をきっかけに設立され、以来、約10年にわたり町との連携を重ねてきた。町内の名物「クマヤキ」の担い手不足の課題に取り組んだほか、津別高校と連携して地域を学ぶ「つべつ学」にも参画してきた。
今回のプロジェクトでは、観光地やグルメに偏らず、町民の日常や価値観に焦点を当てた情報誌を制作。「暮らしの中にある津別らしさ」を丁寧に掘り下げ、冊子として町内外に配布するという。企画から、編集・取材・制作まで全てを学生主体で行い、完成は2026年2月、頒布開始は3月を予定している。
情報誌のタイトル「rotator」は「回転軸」を意味し、「町民一人一人の暮らしが町の軸を形作っている」という思いを込めたという。取材班には、津別高校を卒業し地元をよく知る大学生・蒲生優斗さん、大川原未来さんも加わる。蒲生さんは「津別町のふるさとやまつりの裏側を取材し、住民の楽しげな空気や熱意を記事で伝えたい」と意気込みを見せる。
支援者からもエールが寄せられている。佐藤多一津別町長は「学生だからこそ見える景色がある。若者の柔軟な発想と行動力が、津別町の未来づくりに大きく寄与することを期待している」とコメント。地元農場の河本純吾さんは「彼らは、まちの人と一緒に悩み、考え、歩んできた。今回の情報誌はその延長線にある挑戦」と話す。
支援金は印刷費や郵送費、手数料に充てられ、個人向けには特産品セット、法人向けには冊子への企業ロゴ掲載などのリターンを用意する。CFは2026年1月12日まで。
三浦さんは「津別町を好きになるきっかけになればうれしい」と話す。