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北見に「オホーツク将棋教室」 管内唯一、指導者は北見出身の現役東大院生

「9かける9」社長で代表講師の石原卓弥さん。5月に四段へ昇段した将棋の実力者。

「9かける9」社長で代表講師の石原卓弥さん。5月に四段へ昇段した将棋の実力者。

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 「オホーツク将棋教室」(北見市山下町4)がオープンして、12月17日で1カ月がたった。運営は、北見市内で教育事業を手がける「9かける9」(同)。

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 日本将棋連盟が定めた記念日である「将棋の日」(11月17日)にオープンした同教室。山下公園近くのビル1階にある学習塾「9かける9」のスペースを使っている。オホーツク管内では、常設で開講している将棋教室は同教室のみ(12月22日現在)。

 指導内容は実践形式での「対局」が中心。初心者から経験者までを対象に、生徒のレベルに合わせてコーチが駒の数を減らす「駒落ち」から、互いに全ての駒を使う「平手」を目指す。料金は1コマ(90分)=2,000円、フリーパス(1カ月)=5,500円など。

 12月20日には初の対局イベント「第1回オホーツク竜王戦」を開いた。ルールは総平手戦。教室受講生と一般の両方から参加が可能で、子どもの部は5人、大人の部(中学生以上)は11人が参加。盤面を前に真剣な表情で向き合う姿が並び、会場は静かながらも白熱した雰囲気に包まれた。代表講師の石原卓弥さんは「今後も将棋界の『八大タイトル戦』になぞらえた対局イベントを定期的に開いていきたい」と笑顔を見せる。

 石原さんは端野町出身。小学生の頃から将棋に親しんでいた石原さん。東京大学に進学して将棋部に入部したことをきっかけに、本格的に将棋を始める。「自分も、将棋部に在籍していた頃は『次に指す手が見えない』ことがよくあったので、伸び悩んでいる人の気持ちがよく分かる。生徒が自分で考えるための補助輪になれたら」と話す。

 弁護士になることを目指して、大学卒業後、東京大学法科大学院へ進学した石原さん。しかし、1年次の5月に休学を選択。同時に、同市へのUターンを決め、6月にスピード起業した。石原さんは「北見市の財政危機をニュースで知ったとき、あと3年、東京で過ごしてから地元に戻るのではなく、リアルタイムで地元の力になりたいと考えた」と話す。「将来を担う子どもたちに希望を持ってもらえるよう、教育の力で北見を元気にしたい」とも。

 同社では高校生向けの学習塾を運営するほか、小学4年生~中学3年生を対象にした「オトナまえプロジェクト」、「アメリカ横断ウルトラクイズ」をアイデアを元にした「キタミ横断ウルトラクイズ」など、子どもにスポーツや文化などの体験の場を提供する無料イベントも開催している。

 「勉強だけでなく、スポーツ・アート・社会科見学など、大人になる前にいろいろな世界に触れてほしい」と石原さん。「結果は、才能やポテンシャルに努力をかけ合わせたものだと考えている。当社の企画は、子どもの結果が出やすいことや、わくわくするものを見つけてあげるため。当学習塾は、努力の仕方を教えるための場所」と話す。「社名の『9かける9』は算数の九九が由来。子どもたちが自分の持つ力の最大出力を自分で出せるよう、学ぶ力を育てて、自走を応援していきたい」とも。

 将棋教室も、教育事業の一環として始めたものだという。「将棋には数学的要素があり、理論的な思考力を育てることができる競技。都心では習い事の選択肢の一つになり始めているが、北見にはこれまで受け皿になる教室がなかった」と石原さん。「当教室では、勝ち負けよりも『頭と心を鍛える』ことを重視している。しぶとさや粘り強さ、考え続ける力、礼儀作法を身につけてもらえたら」と来校を呼びかける。

 石原さんは「北見は、『東大卒だから』という肩書がなくても、等身大の自分でいられる特別な場所」と話す。「北見は情報格差や教育格差が解消されたら、子育てがしやすい地域。中学受験もなく、高校の数も少ない。だからこそ勉強一辺倒にならないところが魅力だと思っているので、中長期的な視点で、北見を最高の教育環境にしたい」と意気込む。

 開講日はインスタグラムで知らせる。

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