遠軽町の寺院「真言寺」(遠軽町宮前町3、TEL 0158-46-6010)の境内で5月29日、2カ月半ぶりに信州おやきの販売が再開される。
住職の黒田大真さんが経営する大黒堂(宮前町3)が昨年9月に不定期で営業を始めたところ、回数を重ねるうちに地元で話題になり、3月には30分で600個が完売するほど盛況になった。
長野県出身の黒田さんは地元の高校を卒業後、青山学院大学に進学。東京国立博物館で法隆寺宝物室長を務めた浅井和春教授のゼミに入ったことをきっかけに寺院や仏像の魅力を知る。卒業後は京都の寺院で1年間修行した後、和歌山県や東京都の寺で僧侶を務める傍ら、平日は寺院以外の世間を知るためサラリーマンとして民間企業で働く。その後、神奈川県の川崎大師で生活していくことを考えている際、遠軽町で跡継ぎを探している寺があると聞き、縁あって同寺に入寺した。
それまで遠軽町を訪れたことがなかったという黒田さん。自然豊かな環境やまちの人たちの人情に親しみを感じる一方、経営者の高齢化や若者の地元離れで活気がなくなっている地域を思慮し、自分の経験を生かして地域を盛り上げられたらと、一念発起して地元・長野の名物「おやき」の販売を始めた。
販売するおやきには道内産の小麦粉「春よ恋」と長野県戸隠産のそば粉を使っており、「もっちりとした食感が特徴」だという。長野県鬼無里村にある「いろは堂」(長野県長野市)からレシピを教わった黒田さんの妻を中心に地元保育園の保育士などスタッフ6人が全て手作業で調理している。
商品は、新鮮な野沢菜漬けを信州みそであえた「野沢菜」や、京都の餡(あん)の老舗に依頼しておやき専用に甘さを調整した「つぶあん」、みそを絡めて炒めた「なすみそ」(以上240円)などの定番のほか、小さなおやきが3つ入った「チョコ」「りんごカスタード」「キャラメル」「ずんだ」(以上480円)や、季節限定メニューの「かぼちゃ」「アスパラ」「ぶなしめじ」(以上240円)などがあり、1回の販売で6~8種類を用意している。
同店では、おやき販売以外にも、長野産ブドウ「ナガノパープル」「シャインマスカット」も販売するほか、今後は境内にあるサウナスペースを使ったイベントなども予定している。「葬儀や法要以外ではあまり訪れる機会のない寺に、もっと親しみを感じてもらえたら」と黒田さん。「当寺が地域コミュニティーの潤滑油になり、遠軽町がより活気ある町になれば」と笑顔を見せる。
次回のおやき販売は5月29日11時30分~。今後は月1~2回の店頭販売のほか、6月1日からは店頭販売以外の日も予約販売する。